目をつぶって胸につっかえていた不安を吐き出そうとして、失敗してむせた。
電車の向かい側の窓には田舎の景色。
僕は今、あの人の家へ向かっている。
手土産持って来いといわれたので、さっきの駅でチェリーパイとミルクティーに良く合う紅茶の葉っぱを購入した。多分彼女はさくらんぼとミルクティーがすきだから喜ぶだろう。多分。
生暖かな空気は眠気をさそう。
僕はゆるく包み込まれて行く思考のなかで、不安をもう一度吐き出そうかと考えて、やめた。
あとはかくんと頭をうつむかせてやるだけだ。
マフラーはやわらかさを僕にくれるから、あとは安心して眠れるだろう。
この不安は消さなくていい。消さないまま、僕は彼女に会って、言うのだ。
土産の紙袋を両手に抱えて、不安を心に抱えて、
電車に揺られて、人の体温を感じたような気がしたまま、
少しの間の眠りについた。